第24章 ユークリッドおよび非ユークリッド連続体

1 問題

(すべて同じ長さ)の棒切れでつくった正方形を机の上にぴったり並べる。

机の上の中央を暖めると中央の棒は膨張する。周りの棒は膨張しない。という条件の実験をする。

(この場合にも、二本の棒切れは机のどの場所においてもぴたり一致する。しかし正方形の構造はこの際必然的に無秩序になる。というのは、机の面の中心方向にある棒切れは膨張するが、外側の棒は伸びていないからである。)

(これらの棒切れ−−単位線分として定義される−−に関しては、机の面はもはやユークリッド連続体ではない。)

2 考察

ア (単位線分として定義される)棒切れの長さ

 (すべて同じ長さ)の棒切れということが条件であった。ところが、熱でこの棒切れを膨張させたから長さが違ったという。すると、(すべて同じ長さ)という条件がなくなってしまう。

(この場合にも、二本の棒切れは机のどの場所においてもぴたり一致する。)ということはいえるのだろうか。中心の棒と外側の棒は長さが違ってしまったので、比べると、ぴったり一致するはずはありません。長さの違う棒をぴったり一致させることが出来る人はマジシャンか、魔法使いぐらいでしょう。実際にやって見せてほしいものです。

 この棒を、熱ではなく、機械の力で引っ張って伸ばした場合はどのように考えるのでしょう。やはりそれでも(単位線分として定義される)のでしょうか。

 長さの違った棒は、伸び縮みの原因が何であれ、もはや測量の棒としては使えません。その棒切れはもはや単位棒としての要件はなくなっています。ただの、無作為に拾った棒と同じです。物差しは長さが狂っては物差しではなくなります。ただの線引きでしかありません。

 ちなみに、メートル原器は、セッシ0度という条件がつけられています。違う温度のときは、1メートルの線分ではないとされています。


イ (正方形の構造はこの際必然的に無秩序になる。)

 これは当然です。碁盤模様の升目は、熱する前はすべて同じ長さの線分から作られていましたが、暖められた後は、棒切れの長さがそれぞれで違ってしまったのだから、もはや、同じ大きさの正方形でもないし、正方形そのものでもありません。


ウ (机の面はもはやユークリッド連続体ではない)

 大理石の机の真ん中を熱すると、非ユークリッド面になるというのは、数学の常識を覆す大発見です。非ユークリッド面を、計算式で表したり、ただ想像するのではなく、実際に作ることは今までは人間には不可能でした。それを作ることができたのだからすごいことです。

 本当に非ユークリッド面がそんなに簡単にできるのでしょうか、信じられないので、ほんとうにこの面が非ユークリッド面であるか検討してみます。

 この升目模様は、熱のため、各辺が膨張し、曲がったり、長くなったりしています。

 長さの違う4本の線分で、正方形は作れない、というのはユークリッドです。また、曲がった4本の線で、正方形は作れない、というのもユークリッドです。すなわち、この大理石の面は、完全にユークリッド面です。

 非ユークリッドなら、長さの違う4本の曲線で正方形が作れなくてはなりません。この大理石の机の面の上にある、升目模様が、熱せられた後も同じ大きさの正方形であるというなら別ですが、アインシュタインも(正方形の構造はこのさい必然的に無秩序になる)すなわち、正方形ではない、と述べているのだから、これは明らかにユークリッドです。アインシュタインはユークリッドを誤認しています。


エ 比較実験

@ 立方体に切った餅(剛体の一種)を準備します。

 これを熱します。やがて膨れてきます。元は立方体であったから、この状態でも立方体である、といえるでしょうか。そしてこれは、非ユークリッドの立方体であるといえるでしょうか。

A 真直ぐに切ったするめ(剛体の一種)を2本準備します。

 これを、平行に並べて熱します。やがて2本のするめは曲がって絡まります。

 この状態を、複数点で交わる平行線、すなわち非ユークリッドということができるでしょうか。

B アインシュタインの大理石の机を零下30度に冷やします。

 氷で作った棒をアインシュタインが言ったように並べます。これを熱します。やがて、氷の棒は溶けて、そのうち蒸発します。完全にごちゃごちゃです。これは、非ユークリッドでしょうか。分子的には、氷も、水も、水蒸気も同じものです。空気中にばらばらに飛び散った水分子の作る形は、元は正方形だったから今も正方形だ。だから非ユークリッドだというのでしょうか。アインシュタインの論理ならそうなります。

 氷はだめだといっても、アインシュタインの棒も、温度を上げれば燃え出します。そして、煙や灰になって胡散無償してしまいます。

 金属も温度を上げると、溶け出し、さらに温度を上げていくと、やがて気体になります。氷との違いはありません。

 アインシュタインが並べた棒はどんな材質でできているのでしょう。

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第25章から28章